美しきもの、『氷点』
映画『CUBE』のPart2を見た時。
「セットにお金をかけ過ぎて
出演者をケチらねばならなかったのか−−−?」
Part1に比べ、やたらハイパーになったセットと
明らかにグレードダウンした登場人物を見て、
そう思ったりしたが。
テレビ朝日のドラマ『氷点』は−−−
セットも、役者も良かった。
制作費って、大事だね−−−
『氷点』。
'66年に連続ドラマ化された際の最高視聴率は
現在もテレ朝のドラマ歴代視聴率1位であるという。
同名小説の原作者・三浦綾子が信仰する
キリスト教の教義を根に据えた傑作ドラマだ。
リメイク版の前編である25日の放送では
終戦直後から昭和40年代初めまでが時代背景。
この時代の雰囲気が、上手く醸し出されていて
そこがまず良かった。
町並みはもちろんのこと、
暗ったい和室に置いてある洋風の応接セットとか
昔の電話機が、嘘っぽくなく、そこにある。
セットだけでなく。
時間をかけて撮影したのだろう。
北海道の厳しい冬や、つかの間の初夏の風景が
どれも美しく、そこにある。
そう、全てがドラマに心地よく馴染んでいるのだ。
そして、美しいと言えば−−−
出てくる人、誰もがすごく綺麗。
みんな、今っぽくなくて
ちょっと時代がかった感じがいい。
石原さとみのワンピースも
仲村トオルのツータックズボンも
飯島直子のボッテリした髪型も
手越祐也のとっくりセーターも
どれも人物の古臭さに拍車をかけるアイテムだが
みんなそれをしっくり着こなしている。
そして−−−
北村一輝のスリーピースも−−−
美しく、かつ、古い。
北村一輝。
美しかった。。。
飯島直子演じる病院長夫人がよろめく
勤務医役だったけど
飯島直子の首筋にキスするところなんか
「背徳」
って書いた紙を、弁護士が持って走り出しそうな。
本上まなみのことを
「僕のことを嫌った唯一の女」
なんて言っちゃうところなんか
「色男」
って書かれた緞帳を、黒子がズドンと引いちゃいそうな。
そんな美しさ。
眼科医の役なのに、
なぜか産婦人科のニオイがした今回の一輝。
誰よりも、女性と関わっていそうなその妖しさも
やはり、良し。
昭和というのが『嫌われ松子の一生』と、
お医者さんというのが『医龍』と
かぶるけど、似たような時代・
似たような役を演じても全く別の人。
この変幻自在さ。
まるでカメレオンアーミーだ。
さすがはナラリーノ国の海軍総督。
図らずも、上手くまとまってしまいました。
<ドラマ『氷点』あらすじ(25日−第1夜)>
北海道・旭川で病院を営む
辻口(仲村トオル)の娘が殺された。
妻・夏枝(飯島直子)が不貞を働いた
最中の出来事だと考えた辻口は
夏枝に復讐すべく、娘を殺した犯人の子を
養女として迎える。
陽子と名付けられた娘(石原さとみ)は
自分の素性を知った夏枝に激しく疎まれながらも
真っすぐに、美しく育っていた。
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» 三浦綾子「氷点」第一夜を見て! [一粒の種談話室]
十チャンネル昨夜11・25(土)夜九時からの三浦綾子の「氷点」第一夜を見ました。
主人公陽子の牛乳配達に対する近所の噂、高校卒業式の答辞差し替え事件等、昔読んだ本をなつかしく思い出しました。
我が子の殺人犯の子を養子にするという設定自体が少し不自然かなという感じを初めは持ちましたが、見るうちにこのようなことも起こり得るかなという感じになりました。
主人公陽子が父母の疑心暗鬼の犠牲になっているので、こ�... [続きを読む]
コメントありがとうございました。
また、年明けに向けて再開すると思いますが、
今度は趣を変えるかもしれません。
その時は、またお知らせします。
久々の名作ドラマでしたね。三浦作品は、二昔も…いえもっと前の段階の世代が青春時代だった頃の名作ですね。その世代ではありませんが、やはり18,9位の頃、読みました。今あらためてこうして観ると、ストーリーはやはりオールドスタンダードですね。
キリスト教色が強い作品ですが、当時は最初の父親のそんな心理に別の意味で不快感を持ったモノです。
今は、宗抜きに、この心理は男と女の情念以外の何者でもないと思ってますが。陽子になりきって当時は読んでました。
しかしですね。今、北村中心で観ましたから、ちょっとまた角度の違う感想になってきたようにも感じてますが、今夜もしっかり観ます。
確かに、セットとかお金掛けてますね。飯島直子さん、思っていたより熱演。でも、歴代の女優と比べると雲泥の差は否めないですね。岸元加世子さん、芸はうまいですが、ちょっと陳腐かなぁ…。物足りないです。竹下景子さんが出てたのは、素敵でしたが…。ドラマの時代感はよく出てましたね。これらの役に相当する年代の女優さんがあまり最近出てこなくて、バラドル出身の女優が中堅女優の座にいる昨今の様子は、いまいち軽くていやなんですよね。
でも、久々に名作の余韻に浸れました。
投稿: ちおり | 2006年11月26日 (日) 16:46
俳優の衣装まで、良くご覧になっていましたね。
下記ブログは、私の感想です。
http://blog.goo.ne.jp/petro2006/
投稿: 一粒の種 | 2006年11月26日 (日) 18:07
『氷点』。やっぱり、こういういい小説って
読み返してみるとその時々に感じ方が違って
それもまた面白いですよね。
自分が成長(年とる?)した分、昔はわからなかったことが
わかったりして。。。
(^^)ちおりさま
お仕事忙しいと思いますが
是非またブログを復活させて下さいね。待ってます!
その間、おヒマな時は当ブログのコメントで
憂さを晴らして下さい!
>飯島直子さん、思っていたより熱演。
私もそう思いました!今までの女優さんと比べなければ
充分合格って思ってます。
この世代の女優さんが最近出て来ない・・・という意見も
激しく同感!日本の女優さんって年齢の端境期がくると
いきなり輝かなくなりますよね。。。
(^^)一粒の種さま
コメントとTB、ありがとうございました!
一粒の種さんのブログも拝見して
「ああ、やはり原作を読んで懐かしく思っている派だ〜」と(^^)
陽子(石原さとみ)も熱演しているし、第二夜も楽しみですね!
おおっと、ちょうど今、第二夜放送が始まりました。
投稿: ナラリーノ | 2006年11月26日 (日) 21:09
原作を読んだのが、十年以上前。
すっかり内容を忘れていた自分に
唖然としてしまいました。。。
海軍総督、ピッタリの役どころで
ありましたね!
>「背徳」
>って書いた紙を、弁護士が持って走り出しそうな
うぷぷ。最高です、この文章☆
もちろん、「黒子が緞帳」も最高☆
どうしたら、この例えが思いつくので
ありましょうか!やはり、海軍総督への
愛でしょうなぁ。。。?
投稿: tanaka | 2006年11月26日 (日) 23:43
(^^)tanakaさま
いやー、私も細かいところ忘れてました。。。
いい話だよね〜なんていいながら。
>もちろん、「黒子が緞帳」も最高☆
>どうしたら、この例えが思いつくので
>ありましょうか!
一輝の顔が、妄想を呼び起こすのですよ・・・
投稿: ナラリーノ | 2006年11月27日 (月) 23:04
ナラリーノさま、最高です~!
笑いをこらえるの辛かったっす(ToT)
(家族にPC前で発狂したと思われそうだったので…)
私も遅ればせながら、昨夜前編を見ました。
まず、皆さん同様、飯島直子さんが意外に(失礼)女優だなぁと感心。。
北村氏は、例によって安定感抜群ですな。
原作は未読ですが、何度目かのドラマ化時に見た記憶があります。
現在、自分に子どもがいると、以前とは全く感じ方も考えることも違うのですなぁ。
我が子を失うなんて、想像するだけで怖くてたまりません…。
そんな意味でも結構重い、このドラマ。
でもここまで見たら、後編も見ますぞー!
投稿: sonia | 2006年11月28日 (火) 12:05
お久しぶりです
「氷点」、改めて読み返してみました
最初に読んだのはかなり昔。以後何度思い出しては読んでいましたが、今回ほど村井目線で読んだことはなかったかも(笑)
村井@北村さん、原作に比べずいぶんソフトな印象を受けました。
一見ヤなヤツだけど実は・・・っていうTVにおける北村さんの王道を行くキャラだったと思います。
あれだけの量の原作を4時間半にまとめた割には村井はかなり優遇されていたとも感じました。
・・・にしても眼科医村井、暗室で至近距離でご診察・・・あ、目眩してきた・・・
投稿: はづき | 2006年11月28日 (火) 16:01
(^^)soniaさま
楽しんでいただけて嬉しいです♪
リアルタイムでご覧になれませんでしたか。
それは・・・お子さんのいるところで見るのはやはり・・・
という慮り???
>現在、自分に子どもがいると、以前とは全く感じ方も
>考えることも違うのですなぁ。
内容的に、絶対そういうことはあるでしょうね。
私の場合、飯島直子が義理の娘に女としての対抗心を
燃やすところ・・・今のほうがわかるな。ハハハ。
(^^)はづきさま
お久しぶりです!
さすが!「村井目線」でしたか(笑)
すごく色っぽくて哀しくて、いい村井先生でしたよね。
北村氏のおかげで、すごく厚みがあった気がします。
>・・・にしても眼科医村井、暗室で至近距離でご診察・・・
>あ、目眩してきた・・・
萌えどころ、でしたな。
投稿: ナラリーノ | 2006年11月28日 (火) 23:00